不育症でも落ち込まないで―不育症は先天異常や染色体異常と無関連―

不育症でも落ち込まないで―不育症は先天異常や染色体異常と無関連―

不育症は、2回以上の流産の経験がある場合を指し、複数の原因が関わる複雑な問題です。これまでの報告では、不育症は早産や前期破水との関連があることが明らかにされていますが、不育症が子どもの先天異常などのリスクとどのように関連するかについては十分に明らかにされていません。
この研究では、エコチル調査の104,102組の妊婦と生まれた子どものデータを用いて、流死産の既往歴が増加するに従って、どのような異常妊娠や子どもの先天異常などがみられるかについて検討しました。解析の結果、不育症は、胎盤癒着、子宮内感染、帝王切開率などと関連することが新たに明らかにされました。中でも、不育症が子どもの先天異常などと関連しなかったことは注目すべき結果でした。これは、不育症であっても、健康な赤ちゃんを出産することができるということを示唆しています。

 

どのような研究なの?

エコチル調査約10万人の妊婦を対象に、不育症と異常妊娠や子どもの先天異常などとの関連について検討しました。

なぜこの研究が必要なの?

不育症であっても健康な赤ちゃんを出産できるというメッセージを不育症の女性に届けることで、妊娠・出産に伴う不安を軽減するのに役立つ可能性があります。

この研究で新しく分かったこと

解析の結果、不育症は、胎盤癒着、子宮内感染、死産、軽度および重度の妊娠高血圧症候群、帝王切開率のリスクの増加と関連することが示されました。また、不育症は、子どもの染色体異常、先天異常、新生児仮死のリスクとは関連がないことが示されました。

今まで知られていたこと

不育症は、早産、前期破水、および低出生体重のリスクの増加と関連することが報告されてきましたが、不育症と子どもの先天異常などとの関連については十分に解明されてきませんでした。

※本研究は環境省の予算により実施しました。本論文内容はすべて著者の見解であり、本記事内容は愛知ユニットセンターの見解・解釈であり、環境省の見解ではありません。

論文情報

Title of the paper: Adverse pregnancy and perinatal outcome in patients with recurrent pregnancy loss: Multiple imputation analyses with propensity score adjustment applied to a large-scale birth cohort of the Japan Environment and Children’s Study
Authors: Mayumi Sugiura-Ogasawara, Takeshi Ebara, Yasuyuki Yamada, Naoto Shoji, Taro Matsuki, Hirohisa Kano, Takahiro Kurihara, Toyonori Omori, Motohiro Tomizawa, Maiko Miyata, Michihiro Kamijima, Shinji Saitoh, the Japan Environment, Children’s Study (JECS) Group
Journal:  Am J Reprod Immunol. 2019 Jan;81(1):e13072..

論文著者

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